研究内容
研究分野:臨床心理学,認知行動療法,健康心理学
研究テーマとプロジェクト
抑うつや不安のメカニズムに関する検討
- 反すうと抑うつとの関連(調査研究,実験心理学的研究)
- 抑うつ症状と前頭前野活動との関連についてNIRSを用いた検討
ストレスや健康問題に対する心理学的知見の応用可能性の検討
- 新任教師におけるリアリティ・ショックのメカニズム解明
- 中小企業経営者におけるストレスマネイジメント
疾患予防やメンタルヘルスの向上を目的とした心理学的介入の開発や効果検証
- うつ病患者への集団認知行動療法の効果
- 新任教師を対象としたリアリティ・ショックへの対応に特化したメンタルヘルス研修プログラムの策定と効果検証
- 不眠電話相談の効果に関する研究
研究紹介
(1)新任教師におけるリアリティ・ショックのメカニズム解明と予防プログラムの効果検証(松永)
*本研究は,科学研究費助成事業 基盤研究(C) の助成を受けています。
*共同研究者(兵庫教育大学 中村菜々子先生,東京家政女子大学 三浦正江先生,北海学園大学 古谷嘉一郎先生)
リアリティ・ショックとは,就職前に想像していた職務イメージと,実際に就職した後の現実との矛盾によって起こる現象です。リアリティ・ショックに関する理解を深めることは,早期離職を抑制すると同時に,若手人材の育成に効果的な施策を講じることが可能であるといわれています。
そこで,私どもの研究では,以下のようなことを目的とした研究調査を実施しています。
- 就職直後から初任1年目におけるリアリティ・ショックの実態把握
- リアリティ・ショックとメンタルヘルスとの関連について継時的変化の検討
- リアリティ・ショックの緩和要因についての検討
- リアリティ・ショックへの対応に特化した研修プログラムの策定
研究成果をHP上でも公表していく予定です。
(2)うつ病の集団認知行動療法に関する効果研究
新座すずのきクリニックと協働して,うつ病休職者の方を対象にした集団認知行動療法を開始します。
くわしくはこちらをご覧ください。
(3)精神科外来患者における抑うつ症状と前頭前野活動の関連
―近赤外分光法(NIRS)を用いた研究―(博士課程 岩山)
準備中
(4)中小企業経営者におけるストレスとの向き合い方(修士課程修了生 吉田)
中小企業経営者のみなさま180名(分析対象は177名)を対象に,質問紙調査を実施しました。
その結果,以下のことが分かりました。詳細な結果につきましては,「資料・成果」のページをご確認ください。
・中小企業経営者のストレッサーとしては,「経営状態」「将来の見通し・資金繰り」「社内のこと」などが多くなっていた。
・ストレスを過小評価する傾向の強い人は,そうでない人よりも,ストレスマネイジメントにあまり関心がない傾向にある。
・ストレスを過小評価する傾向が強い人は,「人に相談したり愚痴を吐く(相談・カタルシス)」といった対処行動を取りにくい。その一方,「悪い局面でも肯定的に解釈する(肯定的解釈)」という対象行動の使用頻度が高い。
このことから,短期的には,ストレス状況を肯定的にとらえてストレスによる不調に陥りにくいが,長期的に慢性的なストレス状況においては適切な対処が遅れてしまう可能性が考えられます。